電話でオペレーターさんに耳鼻咽喉科に行ってくださいと冷静に2回言われた日
普段、耳鼻咽喉科に掛かる方はあまりいないような気はする。
私の周りには少ない。
これは数少ない私と耳鼻咽喉科の接点である。
私は10年程前 飲食店で働いていたので店内のあらゆるトラブルを解決する責任があったわけだが、たまにあるのが 魚の骨が喉に刺さり取れないという客からのクレームだった。
この場合水を持って行って、「大丈夫ですか?」などと声をかければだいたい丸く収まるのであるが、事件が起きたその日は客がかなりごねるので瞬時に次の一手を出さなければならなくなった。
「わかりました お客様。 それではいまから向かうことのできる病院を調べてまいります、お待ちください」
日曜日の夜に小魚の骨を除去してくれる医療機関を探すことになった
当時はまだインターネットがそこまで便利ではなく電話で市の緊急医療問い合わせセンターみたいなところに電話をかけて症状にあった病院を紹介してもらうことになる
プルルルルル プルルルルル プルルルルル
ガチャ 「はい 名古屋市 緊急なんちゃらセンターです。」
まる「すみません、魚の骨が喉に刺さって取れなくて痛いんですが、今の時間ですとどの病院に行けばいいですか?」
オペレーターのおばさん
「はい、魚の骨が喉にささってるんですね、その場合は耳鼻咽喉科の診療区分になります。現在夜間診療を受け付けているのは〇〇区の✖✖医院になります。」
まる
「わかりました。ありがとうございました」
同じ市とはいえ車で30分くらいはかかりそうだ。
まる
「お客様、たいへんお待たせいたしました。喉の診療は耳鼻咽喉科の医師に診てもらう必要があるので〇〇区の✖✖医院までいきましょう。わたしが車を運転します。」
もちろん、できればこんなしょうもない案件で責任者が現場を離れるのは耐えがたい
できれば「あ、それならもういいです。と言ってほしい」
喉骨の客
「あ、そんならもう大丈夫です。いまご飯でちょうどとれたところです」
まる
「左様でございますか!!それはよかった!!」
多分最初から大したことはなかったのだろう
ここで双方の「めんどくさい」という理由により、めでたくこの事案は解決を迎えた
それから2時間後
血まみれになったバイトの女子Kが私の前に現れてこういった
「店長 ボールペンが鼻に刺さった!!」
なんやねん・・・それ・・・
なかなかの量の鼻血である。
ダメージはさっきの喉骨の客より大きい
話を聞くとドアを下敷き替わりにしてメモを書いていたところ急にドアが開き書いていたボールペンがそのまま鼻にささったらしい。
つまり、ドアが開くエネルギーがそのまま鼻に伝わったという身の毛もよだつ話である。
わたしは 笑い、同情、めんどくささ、かわいそうだなという良心、笑い、忙しいのになぁという思い、笑い、笑い などの様々な感情を胸に秘め再び電話の前に立った。
そう名古屋市 緊急なんちゃらセンターに電話する為である
プルルルルル プルルルルル ガチャ
「はい、こちら名古屋市 緊急なんちゃらセンターです。」
まる
「すみません、鼻にボールペンが刺さって鼻血が出てる患者がいるのですが、どちらで診てもらえますか?」
オペレーターのおばさん
「はい、復唱しますね、鼻にボールペンが刺さった。ということでよろしいですね?」
まる
「間違いありません」
オペレーターのおばさん
「はい、それではお調べします、少しお待ちください」
「チャーララーチャララチャーラーラー(保留音)」
「もしもし、お待たせいたしました 鼻のケガとなりますので耳鼻咽喉科を受信して下さい。現在夜間診療を受け付けているのは〇〇区の✖✖医院になります。」
まる
「わかりました、ご丁寧にありがとうございます」
まる
一緒なんだ!!魚の骨もボールペンも!!!
私の心の中を駆け巡った 驚き 笑い めんどくさいという思い 笑い 笑い 笑い
まる
「おいK!!今診療してくれるの〇〇区の✖✖医院だけだって!!いく?」
K
「・・・・・・・・・」
「めんどくさいからいいや・・・」
ここで双方の「めんどくさい」という理由により、めでたくこの事案は解決を迎えた
めんどくさいは意外と世界をまろやかにする