まるさんの記憶をたどる旅

子供から最近まで記憶と思いを辿るブログ

エースコインってお菓子昔一回だけ食べた。 真冬に外で、段ボールで寒さをしのいで食べた。親は完全な人格者じゃないってこと

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このあいだスーパーに行ったら「エースコイン」が売っていた。

このお菓子は60年前からあるらしい。生存競争の激しいお菓子業界でレギュラーの座を勝ち取った猛者である。実績は十分だ。

 

私は自他ともに認めるお菓子好きであるが「エースコイン」を口にしたのは約30年前

かなり昔のことだったように思う。

 

鍵っ子、カギがない

私の家庭は早々に両親が離婚したために私は幼稚園から鍵っ子だった。

そう、良くいえばパイオニアである。先駆者である。

メリットなど何もなかったが

 

あれはたしか小学校2年くらいだった気がする

私はカギを家の中に忘れたまま学校に行ってしまい自宅に入ることがままならなくなってしまった。

鍵っ子も2年目3年目を迎えていたのでパニックに陥ることはなかったが、いかんせんやばいなと思った。

なぜなら外は真冬だったからである

 

それでも母親が夕方6時には帰ってくるかなと思いつつ5時くらいからベランダに寝転んでいた。

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団地のベランダに寝転んで待っていた。

しかし、6時を過ぎてもまだ母は帰宅しない

日が落ち寒風は鋭さを増して吹込んだ

もうじき帰ってくるはず

もうじき帰ってくるはず

7時になった。空腹も限界に達したポケットには200円入っていた

近所のスーパーに行き、なるべく量のあるお菓子を探した

それが「エースコイン」だった。100円でエースコインをもう100円で缶コーヒーを購入した。

風から身を守るために段ボールを拾ってきた

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団地のベランダで段ボールにくるまり缶コーヒーを飲んだ。

そしてエースコインを食べた。

30年経っても思い出す。あの惨めさ

 

エースコインは少しづつ食べた 空腹を感じたら少しつまむ といったように

まるで遭難者だった。

 

時間は定かではないが母が帰ってきた2,3時間の待ち時間はその何倍もの時間に感じられた。

親だって人間である。完璧な人間が存在しないように完璧な親もまた存在しない。

私はカギを忘れ、ベランダで待っていたことを母に告げた

母は最初に私にこう言った

「あんた、買い食いなんてしなかっただろうね」

幼稚園の頃飴を買い食いした時酷く叱られたことがあってその瞬間とっさに

「うん、してない。」と嘘をついた。

 

私は母から「寒かったでしょー、なんか買って食べた?」

という一言あればそれでよかった。

段ボールにくるまって寝たことも楽しい思い出になったと思う

子供心にショックだった。すごく傷ついた。

 

でも親の年に近くなった今、思う。

人間は完璧じゃない

親だって完璧じゃない

完璧じゃない人間が痛い思いで自分を産んでくれた

完璧じゃない人間がそれでも必死で自分を育ててくれた

それだけでも大変なことだったと思う

 

少しづつ 少しづつ

許せない事を今、許したり

感謝できなかったことに対して今、感謝できるようになればなと思う。