テッペイのカバンはパンドラの箱だった話
パンドラの箱は実在した
皆さまはパンドラの箱をご存知だろうか?
ギリシャ神話で神様から「この箱を絶対に開けてはいけないよ」と箱を渡された少女パンドラは我慢することができずに箱を開けてしまいます。すると中からは「悲しみ」や「苦しみ」などのあらゆる災厄が飛び出すという話です。
絶対にって言われたら、、ねぇ、、(笑)
さて、ここからが本編である
社会に出て数年余りのことである。私は同期のテッペイ(仮)と一緒に仕事をすることになった。以前からテッペイとは交流があり社内で一番仲のいい友人でもあった。
テッペイはかなりのイケメンであり実家もお金持ちである。正直私は彼が羨ましかったしかし、彼はそれを鼻にかけることもなく謙虚で誠実だった。
私の住居は業務の都合による転勤が頻繁だったため社員2,3人で3LDKや3DKの賃貸マンションを会社が賃貸し、そこで共同生活を送るのが当時は当たり前だった。
その当時、私、テッペイ、そしてもう一人松田(仮)という後輩の3人で共同生活を送っていたのである。
とある日だった、私は休日でテッペイは出勤だった。私はテッペイがいつも愛読しているクルマの雑誌を貸してもらおうと無断でテッペイの部屋に入った。
ドアではなくふすまだったのでカギはかかっていない。
テッペイが帰ってきたら「雑誌かりたでー」と一言告げるつもりだった
テッペイの部屋に申し訳なさげに入る。例えていうなら兄弟の部屋に無断で立ち入る感覚である。
テッペイの部屋は少し散らかっていたが余り家具もないので雑誌を探すのもあまり時間はかからない。3分程探して雑誌が見当たらなかったのであきらめて部屋に戻ろうとしたときに ふと、カバンが目に入った。
こんな感じのチャンピオンのボストンバッグである。
私はなぜだか分からないがこのボストンバッグを開けてみた
すると、中から出てきたのは
使用済みの「革の下着」「ブルマ」「ブラジャー」などがパンパンに詰まっていた
「!!!!!」
私は開けてしまったのだ、パンドラの箱を。
おそらく、盗んだものではないようだ。多分、そういうお店で購入したものだと思う
女性が日常で身につける類の物ではなかった。
私は素早くボストンバッグのジッパーを閉じ、開けた事を悟られないように元の状態に戻し、自室に戻った。
この時の私の思いは「まぁ、人それぞれだし、誰にも迷惑もかけてないから見なかったことにしよう」という思い遣りの心である。
その後も私とテッペイは共に困難を乗り越え、同僚として、友人として1年程の時間を過ごした。
そして、私が名古屋に転勤することになりテッペイは残ることになった、この時になると私はもうテッペイのボストンバッグのことなどすっかり忘れており至って普通に別れを済ませることになった。
私以外にもパンドラの箱を覗いた物がいたようだ
それからさらに数か月後のことだった。
私は連休を利用し、久しぶりに昔の仲間のもとに遊びに来ていた。
そのときに松田とした会話である。10年以上たつが、一字一句忘れずに覚えている
松田「まるさんーーテッペイさんの、その、なんて言ったら良いんですかね、テッペイさんの性癖って知ってますか?」
私は思い出した。あのパンドラの箱を。ボストンバッグを開けた日のことを
しかし、いうわけにはいかない
まる「さぁ?わからへん。」
松田「実は少し前にバイトの村田くんとテッペイさんの部屋に入ったんですよ、そしたらチャンピオンのボストンバッグが置いてあってー
まる「お前も見たんかい!!」
最後まで説明を聞くまでもなく、私は突っ込んだ。
松田「まるさんもみたんですね。俺と村田くんは開けてから数秒で無言でチャック閉じました」
まる「俺もおんなじやわ」
松田「その日はそれで見なかったことにしたんです。」
まる「うん。」
松田「ところが、事件はまた別の日だったんです。テッペイさんも転勤することになって、僕らはサプライズの送別会を企画したんですよ」
まる「ふむ、なるほど」
松田「ただ普通にやっても面白くないんで、僕らは寝起きドッキリを企画したんです。
寝てるとこ部屋に入っていって胴上げしながら近所の公園まで連れて行くって企画を立てたんですよ」
まる「発想が完全にいかれてる(笑)」
松田「で、僕らは計画通りに朝7時にテッペイさんの部屋に突入したんですよ」
まる「ふん、そしたら」
松田「テッペイさん、あり得ない勢いで怒ったんです。今まで見たことないぐらい」
松田「おそらくテッペイさん、ボストンバッグの中身を装着してたんでしょう」